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サウジ・イラン断交の背景

 要するに、世界を動かしている根本要因の一つがエネルギー問題だということです。
「シェール革命」によって中東の石油資源に興味を失ったアメリカは中東最大の親米国家サウジアラビアを見放し、サウジの宗派的宿敵イランとの和解を決めてしまいました。アメリカが手を引くことによってスンニ派対シーア派の対立が表面化し、更にアメリカに替ってロシアが介入を強めることにより、中東はカオス状態に陥っているのです。
今、世界経済を揺るがしている「原油価格暴落」も、「シェール革命」+「中国経済減速」+「イラン制裁解除による原油輸出再開」によって起きているのです。
 中東から手を引いたアメリカは覇権を争う真の敵・中国への攻勢を強めており、日本も日米同盟により、この覇権争いに巻込まれて行きます。
日本の未来は、この二つの超大国が共倒れした後に開けて来ます。今は日米一体化して共通の敵・中国を倒さなければなりません。中国を倒しても成熟期を過ぎたアメリカは衰退して行きます。今後数年間が、日本が真に自立したアジアの「希望の星」になれるか否かの運命の岐路です。

 
中東大戦争は起こりうるのか? 米国の“変心”で表面化したサウジ・イラン対立 (北野幸伯)
     2016年1月18日            DIAMOND online     
http://diamond.jp/articles/-/84713~page=5)

 新年早々、中東で大きな問題が起っている。「スンニ派の盟主」を自任するサウジアラビアが、シーア派の大国イランとの国交を断絶したのだ。中東への関心が薄い日本人には「唐突に起った」ように思える両国の対立。しかし、紛争の原因は5年前の米国の「ある重大な決断」にある。

サウジとイランの諍いの最中に米国は対イラン制裁の解除に動いた

 中東情勢が不安定さを増している。サウジアラビアとイランの国交断絶は、両国だけでなく、地域全体を巻込んだ戦争に発展する可能性が指摘されている。
先ず両国の間で「何が起ったのか」を把握しておこう。サウジアラビア政府は1月2日、[テロに関与した」容疑で、シーア派の指導者ニムル師を処刑した。ニムル師は2011年、「スンニ派国家サウジによるシーア派への差別」撤廃を求める反政府デモを支持。12年6月に逮捕され、14年10月、「宗派間の対立を煽った」として死刑判決を受けた。

 シーア派国家イランの首都・テヘランでは同日、ニムル師の処刑に激怒した民衆が、サウジ大使館を攻撃。イラン最高指導者のハメネイ師は、群衆に自制を求めるどころか、「サウジの政治家には間違いなく神の報復が降り掛かる」と発言し、火に油を注いだ。

 この事件を受けて、サウジアラビアは1月3日、「イランとの国交を断絶する」と発表。更にサウジは1月7日、内戦が続くイエメンのイラン大使館を空爆したとされる(サウジ自身は、否定している)。ここ迄でも十分、「平和ボケ」している我々日本人には驚きだ。しかし、もっと驚きなのは、米国の反応だった。

1月6日付、読売新聞から。
 <米国務省のカービー報道官は4日の記者会見で「我々はこの問題の仲介者になろうとしているかと問われれば、答えはノーだ」と述べた。>

 何という軽さだろう。中東最大の親米国家サウジアラビアを助ける気は、全くないらしい。更に、1月6日、サウジを更なる衝撃が襲う。サウジとイランの対立にも拘らず、米国は「対イラン制裁を解除する」というのだ。

 <対イラン制裁、数日で解除…米国務長官が見通し
    読売新聞 1月8日(金)11時48分配信
 【ワシントン=大木聖馬】 ケリー米国務長官は7日、イランのザリフ外相 と電話会談し、昨年7月の核合意の履行状況等について意見交換した。ケリー氏は同日の記者会見で、欧米による対イラン制裁の解除について「全てが巧く行けば、我々は数日のところにいる」と述べ、近く解除されるとの見通しを示した。>

 一体、何が起っているのだろう? ブッシュの時代であれば、米国は必ずサウジに味方し、「イランと戦争する良い口実だ!」と歓喜したことだろう。実際ブッシュは、常にイラン攻撃の口実を探していた。何かが大きく変っている。一体、何が?

原油欲しさにサウジに接近した米国は「シェール革命」で態度を一変させた

 米国とサウジの友好関係は、40年以上前まで遡る。両国は1974年、2つのことで合意した。

1.サウジアラビアは、原油輸出を、ドルで行なう。
2.米国は、サウジアラビアをあらゆる敵国から守る。

 この件について、米国のベストセラー「コールダー・ウォー」(マリン・カツサ著、草思社)から引用してみよう。

 <キッシンジャー(筆者註:当時国務長官)は、サウード王家に末代に亘る保護を約束した。どのような国に攻撃されても防衛すると説明した。(中略)
サウジアラビア防衛の見返りにアメリカが要求したのがアメリカへの石油輸出であった。そしてその取引はドル建てでなくてはならなかった。>(242p)

 何故、米国は、サウジアラビアに拘ったのか?言う迄もなく当時、サウジが原油埋蔵量も生産量も世界一だったからである。新世紀に入っても、米国は相変わらず資源の宝庫・中東を最重視していた。

 ブッシュ(息子)が2001年1月大統領に就任した時、「米国内の石油は、16年に枯渇する」と言われていた。このことが、ブッシュの「攻撃的外交」の大きな原因だった。
例えば03年に始ったイラク戦争。当時、開戦理由は「イラクが大量破壊兵器を保有している」、「アルカイダを支援している」というものだった。しかし、どちらの理由も「ウソ」だった。
では、真の原因は何だったのか? FRBのグリーンスパン元議長は、自著の中で驚きの告白をしている。

 <[イラク開戦の動機は石油]=前FRB議長、回顧録で暴露
[ワシントン17日時事]18年間に亘って世界経済の舵取りを担ったグリーンスパン前・米連邦準備制度理事会(FRB)議長(81)が17日刊行の回顧録で、2003年春の米軍によるイラク開戦の動機は石油利権だったと暴露し、ブッシュ政権を慌てさせている。>(2007年9月17日時事通信)

 更にフセインが2000年11月、原油の決済通貨をドルからユーロに変えたことも、イラク戦争の大きな理由と考えられる(フセイン政権打倒後、米国はイラク原油の決済通貨をユーロからドルに戻した)。

 ところが、オバマが大統領に就任した09年頃から、大きな変化が起り始めた。「シェール革命」である。シェール革命は、米国と世界を大きく変えた。米国は09年、長年世界一だったロシアを抜き、天然ガス生産で「世界一」になったのだ。
「米国内に、ガスも石油もたっぷりある!」
この事実は、米国の中東に対する態度を一変させた。つまり、米国にとっての「中東の重要度」が「下がった」のだ。実際、11年11月17日にオバマは、オーストラリア議会で「戦略の重点を、中東からアジアにシフトする」と宣言した。

ゆっくりと中東から手を引く米国、露骨に裏切られたサウジの焦り

 米国の戦略転換の大きな理由は、2つ考えられる。
1つは、中国が台頭して来たこと。08年に始った「100年に一度の大不況」で米国経済は沈んでいた。その一方で、中国は08年9.64%、09年9.2%、10年10.6%、11年9.5%の成長を果し、「一人勝ち」状態になっていた。
10年にはGDPで日本を抜いて世界2位に浮上。経済力でも軍事費でも世界2位の大国となり、米国の覇権を脅かす巨大な存在になって来たのだ。
もう一つの理由は、「シェール革命」で中東の重要度が下がったことである。米国の「大戦略」が大きく変った瞬間だ。

 しかし、米国の「アジアシフト」は、すんなり実現している訳ではない。オーストラリア議会演説を行なった11年、シリアでは既に内戦が始っていた。米国は、サウジアラビアやトルコを中心とする「スンニ派諸国」と共に、「反アサド派」を支援した。

 一方、シーア派の一派・アラウィー派に属するアサド大統領は、シーア派の大国イランと、シリアに海軍基地を持つロシアからの支援を受けた。結果、シリア内戦は長引き、独裁者アサド政権は、中々倒れない。

 13年8月、業を煮やしたオバマは、アサド軍が「化学兵器を使用した」ことを口実に、「シリア(=アサド政権)を攻撃する」と宣言する。しかし、攻撃への支持が広がらないと分ると、翌月には戦争を「ドタキャン」して世界を仰天させた。表向きの理由は、「アサドが化学兵器破棄に同意したから」となっているが、そもそもそれ以前に、前述したような理由から、米国は「中東への熱意」を喪失していたのだ。

 そして、米国はイランとの本格的和解に乗出した。15年7月、米国等6大国がイランと核開発問題で「歴史的合意」に至ったことは、記憶に新しい。
著名なアラブ人ジャーナリスト・アトワーン氏は、その著書「イスラーム国」(集英社インターナショナル)の中で、この時のサウジアラビアの反応について、こう書いている。

 <このアメリカの変節に、サウディアラビアは激怒した。(中略)
更に悪いことにアメリカは、サウディアラビアの敵であるイランとの外交関係改善に向けて動き出した。サウディアラビア王家は、このニュースをテレビで知り戦慄した。イランの新大統領ハサン・ロウハーニとオバマの電話会談に関し、アメリカはサウディアラビアに相談どころか、通知すらしなかったのである。>(206p)

 米国に露骨に裏切られたサウジの焦りは、相当なものだろう(日本も、米国のこのような側面を決して忘れてはならない)。

サウジの敵・シリアのアサド大統領がロシアの支援により復活へ

 さて、米国が中東に対してやる気を失った後、シリアでは「反アサド派」に属していた「イスラム国」(IS)が、急速に勢力を伸ばして行く。ISは、首切り処刑の動画を世界に配信する等、余りにも残酷なテロ組織だ。止むを得ず、米国は14年8月から「IS空爆」に踏切った。

 しかし、ISは反欧米のアサドと戦ってくれる「捨てがたい存在」でもある。それで、米国を中心とする「有志連合」の空爆は「ダラダラ」していた。何と言っても、ISの資金源である「石油インフラ」への空爆を一切行なっていなかったのだから。

 15年9月、今度は、ロシアがIS(とその他反アサド派)への空爆を開始した。アサドを守りたいロシアの空爆は本気。ロシアは遠慮なく石油インフラへの空爆を行ない、ISは短期間で弱体化した。

 米国は当初、「ロシアはISではなく、反アサド派を空爆している」と非難していた。しかし、あまりやる気がないので、結局妥協。15年12月18日、国連安保理は、全会一致で「シリア和平案」を承認した。合意内容は、「アサド派」と「反アサド派」からなる「新政府」を樹立すること。新政府は新憲法を制定し、選挙を行なう。これで、アサドが選挙を通して合法的に政権に止まる可能性も出て来た。

今迄の米国の行動を振返ってみよう。

1.シェール革命により米国は、資源が豊富な中東への関心を失なった。
2.米国の関心は中東から、最大の脅威・中国のあるアジアにシフトしている。
3.米国は、サウジアラビアを防衛したいという熱意を失った。
4.米国は、サウジの敵であるイランに接近している。
5.米国は、サウジの敵であるアサド打倒を諦め、延命の可能性を開いた。

 これら全ての要因がサウジを焦らせ、怒らせる。

現在の中東情勢は一触即発、ソ連没落後に大混乱した東欧に酷似

 東欧は1980年代迄、事実上ソ連の支配下にあった。しかし、85年に「優しい男」ゴルバチョフがソ連書記長になると、数年で「民主化革命」のドミノ現象が起った。結果、チェコスロバキアや、ユーゴスラビアは分裂。特にユーゴスラビアは、(2008年に独立宣言したコソボを含め)7つの独立国家に分断された。更に1991年、ソ連自身も15の独立国家に分裂。怖いソ連があった時代は表面化しなかった様々な民族間紛争が起って来た。

 今回のサウジとイランの対立も、根本的には同じ構図である。米国は、勿論崩壊していないが、中東への関与を減らしつつある。
例えば、米国は「ニムル師を処刑しないよう」サウジに求めていた。米国が怖ければ、サウジは処刑しなかっただろう。しかし「米国は何も出来ない」ことを確信したサウジは、処刑を断行した。

 もし、イランが「サウジとケンカすれば、米国が出て来るぞ」と恐れていれば、民衆の大使館襲撃を(事実上)黙認しなかったかも知れない。要するに、サウジもイランも「もう米国は関係ない」と感じているので、憎悪を抑制する必要がなく、言動が大胆になっているのだ。

 では、サウジとイランは戦争になるのか? 或いは、スンニ派諸国とシーア派諸国の中東大戦争に発展するのだろうか?
「理性的」、「常識的」に考えれば、サウジもイランも「戦争したくない」だろう。サウジは「米国からの支援なしでイランと戦って勝てるのか」、自信を持てない筈だ。

 一方のイランは欧米と和解し、制裁が解除されつつある。これから原油・天然ガス輸出を増やして景気が良くなるだろう。世界中から大きな投資話も入って来ている。つまり、米国に裏切られたサウジとは反対に「順風」が吹いている。イランは、サウジとの戦争で、この流れをぶち壊したくない筈だ。

 しかし、サウジとイランは、既にシリアやイエメンで「代理戦争」を戦っている。また、歴史を見れば、規模の小さな事件が大きな戦争に発展した例は、山程ある。
例えば、第1次世界大戦が起った直接のきっかけは、オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者・フェルディナンド大公がサラエボで暗殺されたことだった。数発の銃弾が、世界大戦の引金となったのだ。
中東の状態は今、同じように、規模の小さな事件が大戦争に転化する可能性がある、とても「脆い状態」にあると言える。


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日月の民草

Author:日月の民草
 ハンドルネーム666です。

五六七のミロクの代から六六六のミロクの世となるぞ。
六六六がマコトのミロクの世であるなれど、六六六では動きないぞ、
六六六は天地人の大和の姿であるなれど、動きがないからそのままでは弥栄せんのぢゃ、
666となり又六六六とならねばならんぞ、新しき世の姿、よく心得よ。
(五十黙示録 第二巻 碧玉之巻 第15帖)

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