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アメリカの反撃

 この北野幸伯(きたの・よしのり)氏という人物は、ロシアのモスクワに在住し、別の記事で「日本はロシアと組むべきだ」という趣旨の発言をしているので、工作員の可能性もあります。
しかし、その分析、推論等は極めて的確で興味深いものがあり、じっくりと味わってみる価値は充分です。(恐らく、その筋の情報源を持っている)

本文の〔要旨
 アメリカは、戦争とは別の手段をメインに中国(註: ロシアの盟友)を潰して行く筈です。
具体的には、
・ 情報戦=中国を悪魔化する。  
・ 経済戦=中国経済を崩壊させる。 
 です。
結局、アメリカは、「中国の一党独裁体制を崩壊させ、民主化させること」を目指すことでしょう。


『ロシア政治経済ジャーナル』
南シナ海作戦はほんの序章。アメリカは2つの「戦争」を中国にしかける(北野幸伯)
     2015.11.06          MAG2 NEWS
http://www.mag2.com/p/news/122188

 中国による南シナ海埋立問題を事実上2年間無視していた米国が、何故ここに来て「航行の自由作戦」を開始したのでしょうか。メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』によると、そこにはあの「AIIB事件」が深く関わっていると言います。

〔本文〕
 読者のS様から、こんな質問を頂きました。

 「AIIB事件がなかったら、米中南沙対立もなかったの??
もし件(くだん)のAIIB事件が起らなかったら、南シナ海の行方と言うか…。
中国の人工島建設は完成して、人民解放軍の基地になってしまったのでしょうか?
AIIB事件が起きなかった時、米国はどうする心算だったのでしょうか?」

 皆さんご存知のように、今年3月に「AIIB事件」が起った時、「アメリカは、必ず中国に逆襲する」と書きました。メルマガでは長過ぎるので、ダイヤモンドオンラインさんに、「どうやって逆襲するのか?」その方法も書きました。
 で、半年経って、当に書いたとおりになっている。
そこでS様は、疑問に思われた。「でも、AIIB事件がなかったら、どうなっていたのだろう??」と。
今回は、これを考えてみましょう。

Ⅰ AIIB事件前の状況1~シリア戦争ドタキャン

 世界情勢を知る最重要ポイントは2つです。

1.長く見る
 つまり、過去まで遡って見ること。

2.広く見る
 つまり、「世界的視点」で見ること。例えば、ウクライナ情勢を見る時も、シリア情勢を見る時も、必ず大国群の意図と動きを見ること。と言う訳で、AIIB事件が起る前の世界情勢を見てみましょう。

 アメリカには、戦略上「重要な地域」が3つあります。 即ち、
・ 欧州
・ アジア
・ 中東
 で、アメリカが「どの地域を最重要視するか?」は、情勢によって変るのです。

 2013年、アメリカの目は、明らかに「中東」に向いていました。具体的には、シリアの反米アサド政権を打倒すること。2013年8月、オバマは、「アサド軍が化学兵器を使ったので、シリアを攻撃する!」と宣言しました。国連報告によると、化学兵器使っていたのは「反アサド」の方だったのですが、ここでは詳しく触れません。証拠に興味がある方は、こちらをご一読ください。
 2013年9月、オバマは「シリア戦争」をドタキャンして、世界を驚かせました。プーチンの仲介で、アサドは、「化学兵器破棄」に同意。そして、アメリカは、アサドのバックにいるイランとの和解にも動き始めました。(2015年7月、核開発問題で歴史的合意に至る)

 こうして、オバマは「シリア攻撃」を断念し、イランとの和解に動き始めました。これは一体何なのでしょうか? 何故アメリカにとって「中東」は大事だったのか? ここに原油と天然ガスが集中しているからです。

 ところが、シェール革命で、アメリカは、原油生産でも天然ガス生産でも世界一になってしまった。自国の埋蔵量も、十分あることが判って来た(シェール革命前は、「2016年頃アメリカの原油は枯渇する」と言われていた)。それで、中東の重要度が下ってしまったのです。

 これが、アメリカのシリア放置、イランとの和解の本質です。

Ⅱ AIIB事件前の状況2~ウクライナ問題とイスラム国

 さて、シリア戦争ドタキャンの2か月後、今度は欧州ウクライナが騒がしくなって来ました。親ロシア・ヤヌコビッチ大統領に反対する大規模デモが起こった。2014年2月、革命が起り、ヤヌコビッチは失脚します。
これ、「陰謀論」でも何でもなく、実はアメリカがオーガナイズしたのです。何といっても、「オバマさん自身」が認めていますから。証拠はこちら
動画はこちら。↓



 2014年3月、ロシアはクリミアを併合。これで、アメリカの最重要ポイントは欧州にシフト。最大の敵はプーチン・ロシアになりました。
しかし、「ロシア憎し」の情熱も長続きしませんでした。同年8月、アメリカは「イスラム国」への空爆を開始しています。以後、アメリカの視線はプーチン・ロシアとイスラム国(註: 米国の一部とイスラエルの合作だと言う噂がある)を往ったり来たりしていました。

Ⅲ AIIB事件の衝撃

 アメリカの「戦略重要地域」は、欧州、中東、アジアである。しかし、2013~14年の動きを見ると、アメリカは中東と欧州(ウクライナ)で戦っている。アジアには視線が向いていないことが分ります。
ところが、2015年3月、全てを一変させる「AIIB事件」が起った。

 毎回書いていますが、親米国家群、具体的にはイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国等等が、中国主導「AIIB」への参加を決めた。しかも、アメリカが「入らないよう」要求していたにも関らずです。

「親米国家群が、アメリカの言うことではなく中国の言うことを聞く!!!!!!」

 これはつまり、「アメリカではなく中国が覇権国家になりつつあること」を如実に示していました。「AIIB事件」で、アメリカの「主敵」は、「プーチン・ロシア」、「イスラム国」から、中国に変ったのです。

【参考】AIIB進撃の中国に、アメリカが宿敵・ロシアと和解する可能性が浮上

 4月末、安倍総理の「希望の同盟」演説で、「日本は味方」であることを確信したアメリカ。
5月から、中国の「南シナ海埋め立て問題」をバッシングし始めました。

 これ因果関係が重要です。
「AIIB事件(原因)があったから、南シナ海埋立てをバッシングし始めた(結果)」
決して、「中国が国際法を無視しているから、バッシングを開始した」のではない。それが証拠に、中国は、「2013年」から埋立てを開始しています。アメリカは、事実上2年間、中国の動きを無視していた。つまり、「AIIB事件」で衝撃を受けたアメリカが、「南シナ海埋立て問題」を「口実」にして「中国バッシング」を開始した。

 こういう「因果関係」です。

Ⅳ 「AIIB事件」がなかったら?

 さて、S様からの質問に戻ります。
もし件のAIIB事件が起らなかったら、南シナ海の行方と言うか…。
中国の人工島建設は完成して、人民解放軍の基地になってしまったのでしょうか?
AIIB事件が起きなかった時、米国はどうする心算だったのでしょうか?

 ここまで2013~15年の動きを見て来ましたが、「AIIB事件」が起る迄、アメリカは「南シナ海」の状況にあまり関心を持っていませんでした。ということは、「AIIB事件」がなければ、2013~14年の状況が暫く続いていたことでしょう。つまり、アメリカは、プーチン、イスラム国との戦いを続けていた。
 しかし、アメリカが、巨大化する中国の脅威に、永遠に気付かないということもあり得ないでしょう。「AIIB事件」ではない他の事件で、「ええ!? 中国ヤバいじゃん!」と気づいた筈です。その時、やはり「南シナ海埋立て」は、問題になっていた筈です。
要するに、「早いか、遅いかの違い」ということですね。日本にとっては、「AIIB事件で、アメリカが早めに気付いて呉れてよかった!」ということなのですが。

Ⅴ アメリカは、「表面上」何も変えることができないが…

 もう一度、S様の質問を。

 「もし件のAIIB事件が起らなかったら、南シナ海の行方と言うか…。
中国の人工島建設は完成して、人民解放軍の基地になってしまったのでしょうか?
AIIB事件が起なかった時、米国はどうする心算だったのでしょうか?」

 この、「中国の人工島建設は完成して、人民解放軍の基地になってしまったのでしょうか?」ですが。米海軍が動いたにも関わらず、中国は「人工島建設」を止めないと思います。

 ウォールストリートジャーナル10月28日に、「南シナ海の米中緊迫、5つのポイント」という記事がありました。その5番目のポイントは、以下のようになっています。

 「5.この作戦で実際に何かが変るのか 殆んど何も変らない。
中国が造成した7つの小島が存在しなくなる訳ではなく、この海域で中国が益々民間・軍事的存在感を増すのは避けられないようだ。
米国は重要な原則と見えるものを示したが、このささやかな抗議行為では、中国が南シナ海に於ける基地ネットワークの構築・維持という目的を最終的に諦めることはないだろう」

 当に、その通りでしょう。そして、アメリカも、「今回の威嚇で『人工島建設』を断念させよう」とは思っていない筈です。
しかし、私達は、「米中覇権争奪戦が始まった」ことをはっきり自覚しておく必要があります。そして、「核兵器大国」同士の争いに於いて、「軍隊同士の戦闘」は「戦争のほんの一部」でしかないのです。2014年の「米ロ対立」を見れば解ります。

・ 情報戦=プーチンを悪魔化する
「プーチンはヒトラーの再来だ!」
「プーチンは世界の孤児だ!」
 など、脳味噌に残る言葉を100万回繰返し、信じさせる。

・ 経済戦=日欧米による経済制裁
 そして、実際の戦闘は、「代理戦争」でした。つまりアメリカの利益を代表するウクライナ軍と、ロシアの利益を代表するウクライナ東部「親ロシア派」の戦い。米中の争いも、両国軍が大戦争をするような事態は、最終段階まで起らないでしょう(孫子も言ってますが、「戦わずして勝つ」のが一番良いのです)。

 アメリカは、別の手段をメインに中国を潰して行く筈です。
 
 具体的には、
・ 情報戦=中国を悪魔化する
・ 経済戦=中国経済を崩壊させる
 です。

 結局、アメリカは、「中国の一党独裁体制を崩壊させ、民主化させること」を目指すことでしょう。

 「AIIB事件」まで、アメリカの支配層は、「中国はアメリカの作った世界秩序の中に留まる」と信じていました。しかし、「AIIB」は、明らかに「アメリカの世界秩序の『外』に新たな国際金融機関を創ること」ですから、「裏切り」に激怒しているのです。

Ⅵ アメリカより日本の「自覚のなさ」が心配

 それより私が心配なのは、「米中関係が最悪になっている」中、日本政府が中国との関係改善に動いていることです。
安倍談話、最後の方にこうあります。

 「我が国は、自由・民主主義・人権と言った基本的価値を揺ぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献して参ります」

 「その価値を共有する国々と手を携えて」とあります。
これは、アメリカとか欧州、オーストラリア、インドなどのことを言っているのでしょう?

 今、価値を共有するアメリカは、共産党の一党独裁で人権も言論の自由もない中国と戦っています。そんな中、日本は、「価値を全く共有しない国」との関係を改善している。何やってるんでしょうね。

 日本政府は、「皆と仲良くしなきゃね」と言うことなのでしょう。

 しかし、アメリカは、「安倍の『希望の同盟』演説も、『談話』も口先だけ。日本は米中を戦わせて「漁夫の利」を得ようとしている狡猾な国だ!」と疑うことでしょう。
韓国みたいな「二股外交」は止めて、是非、「希望の同盟演説、談話」がウソでないことを証明して欲しいと思います。


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日月の民草

Author:日月の民草
 ハンドルネーム666です。

五六七のミロクの代から六六六のミロクの世となるぞ。
六六六がマコトのミロクの世であるなれど、六六六では動きないぞ、
六六六は天地人の大和の姿であるなれど、動きがないからそのままでは弥栄せんのぢゃ、
666となり又六六六とならねばならんぞ、新しき世の姿、よく心得よ。
(五十黙示録 第二巻 碧玉之巻 第15帖)

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